< 大 橋 真 紀 子 先 生 の ダ ン ス 一 問 一 答>
ダンスにまつわるいろんな疑問を集めました。意外と語られていない素朴な疑問から、動きがガラリと良くなるコツまでいろいろと答えてもらいました。
Q. おすすめの靴、靴下は?
おおはし「ジャズシューズ」がいいですね。ダンスの専門店や、最近だとインターネットで買うと安いみたいです。靴下は「5本指」タイプが気に入っています。これはどこでも売っています。
Q. 回転のコツは?
おおはし視線を動かさないこと、そして体を「内側に閉じる」感覚が大事です。例えとしては、体の軸を鉛筆のように細く集める、あるいは「串団子」のように中心に絞り込む感覚ですね。
ミュージカルの場合はその内側に絞り込んだ状態では、歌を歌うのには不向きなので(肋骨が閉じているので)切替が大切になります。
バレエ的な動きでは「重心を上げる」、しっかりした発声をするには「重心を下げる」ということが必要なので、そのあたりは、けっこう自分で考えていかないといけません。ミュージカル自体が歴史の浅いものだからまだまだ試行錯誤ですね。
Q. 上達のコツは?
おおはし「ものまね」は大事です。歌もダンスも「ものまね」でだいぶ向上します。
全体のイメージがとれていれば、細部が間違っていてもヘンにはなりません。
あと、「すぐに上手くなりたい」という気持ちが強すぎると、むしろ焦ってダメみたいですね。上達しはじめるまでの時期は我慢です。
Q. 激しく動いてなおかつ歌わなきゃいけないときは?
おおはし「お腹の支えがあれば動いても声は揺れない」とも言われますが、さすがに動きが激しければそれも万能でもないかもしれません。
なので、たとえば、走っているように見せながら、お腹だけは揺れないように動いたりすることで声が揺れることを防いだりしています。
Q. 緊張したときは?
おおはし「口を閉じて鼻から深呼吸」がおすすめです。激しく動いた後もそれでだいぶラクになります。
「鼻から呼吸」はヨガでもよくやったりしますし、気持ちを落ち着かせるのにとても有効です。
Q. 振付を覚えるコツは?
おおはし振付は「覚えるほど、もっと覚えられるようになる」という傾向が確かにあります。最初はぜんぜん覚えられなくても我慢してやってるうちに覚えられるようになります。
あと振付家さんによって、定番の流れがあったりするので、それに馴れると振り覚えが早かったりしますね。本質的な解決ではないですけど。
それから、大人の人に多い覚え方で、「足だけ」とか「手だけ」の動作に注目して覚えていかれることが多いのですが、なるべく全体として捉えていくことをお薦めします。
体全体のシルエットの動きをとるのは最初は大変ですが、馴れるととても上達に有効です。
Q. 家でできることはなにかありますか?
おおはしやはり柔軟とストレッチですね、毎日の積み重ねはとても大事です。…ただやみくもにやってもダメなところがあるので、伸ばすべきポイントをしっかり理解してやらないといけません。
たとえば、前屈では、体の裏側、背筋側の動きをしっかり意識する必要があります。
なので、腹筋・背筋のトレーニングはやはり大事ですね。
Q. リズム感って鍛えられますか?
おおはしリズムがうまく捉えられない人に多く見られるのは音楽の「メロディ」だけしか聞いてないことです。
音楽の全体、とくにリズムを表現している楽器に意識を向けて聞くことで、かなり向上すると思います。
打楽器やベース、ピアノだったら左手の低音、といったパートを聞くとリズムがとりやすくなります。
あと、クラシックバレエでは音楽の表拍だけで動くことが多いですが、ジャズダンスなどでは、8分音符のウラで動くようなことも多いので、バレエ歴の長い人がその適応に苦労することが多いみたいですね。アウフタクト(弱起)から動き始めるようなものもあるのでなるべくいろんな音楽を聴いておくといいでしょうね。
Q. 表現の流れがつかめません
おおはしうまい人の表現は、ポイントになる表現の手前ですでに布石が打たれていることが多いですね。大事な動作がすごく活きて見えるように、流れを作っています。
もちろん、体の末端まで神経が行っていて、繊細な表現がされているというのも大事ですが、「小さく」動いて「大きい」動きをより大きく見せたり、といったことも大切です。
そのあたりはやはりクラシックバレエの一流の人が参考になります。
Q. 格好良く踊りたいです
おおはし振りが入ったら、鏡を「じーっと」見て踊らないほうがいいです。鏡に注目すると動きが小さくなりがちなので、「鏡の向こうにいるお客さん」を想像してそこに視線を持っていくとよいです。動きを大きくできます。
鏡---先生---自分と立っていたときに、「自分のモニターの仕方」「先生と自分の比べ方」にはいろんなパターンがあるので、さまざまなバリエーションを試してみるといいでしょう。
あとは、動作と動作の間の処理をうまくできるかどうかが大事ですね。振りと振りの間のちょっとした動きに魅力が出せるようになってください。とくに「歩く」「走る」はいちばん奥が深くて難しいです。
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